減価償却の資本的支出と修繕費の違いとは?

基本的に建物やソフトウェア、機械などの固定資産を調達したあと減価償却を行うと取得費の一部を損金算入ができ税務上のメリットを享受することができます。

固定資産が古くなった利、機能をアップデートするために費やした費用も減価償却資産への改良や修繕、グレードアップなどについて修繕費と認められるとその全額を損金として参入することができます。

修繕費と認められなくても資本的支出と判断されることで耐用年数に案分された金額が従来の減価償却費に加算されて減価償却をすることができるようになります。

どちらにしても固定資産の修理やアップデートに費やした費用は減価償却ができるということですね(^▽^)/

ですが、費やした費用がその期に全額損金算入できるのかそれとも長期間で償却する必要があるのか、、、、つまり一過性の税務メリットか長期的な税務メリットなのか・・・このどちらかに該当するかで企業の表面上の決算数値は天と地ほどの差が出てしまうかもしれませんよね。

それが、一過性の利益を相殺する目的で修繕費にあたると思ったのに資本的支出となれば税金を想定より多く支払わなければいけなくなってしまいますし、長期的に処理していこうと思っていたのに修繕費にあたり一過性の損金処理を行わなければならなくなってしまえば決算書上で大赤字もしくは大幅な償却不足になってしまうかもしれません。前者であればまだしも後者は銀行やベンチャーキャピタルなどの貸金業者などが算定するCFに悪影響を及ぼすことは明白です。

 

そういったリスクを回避するために経営者や財務担当者は資本的支出と修繕費の違いや区分けをしっかりとわかっていたほうがいいでしょう。

 

今回はそんな、企業決算のカギを握ると言っても過言ではない資本的支出と修繕費について説明していきます。

 

資本的支出と修繕費の各々の概要

資本的支出と修繕費の違いとしては下記のように定義されています。

  1. 資本的支出は、減価償却資産(建物やソフトウェア、機械などの固定資産)の価値を増大させる支出。イメージとしては使える期間を延ばすような支出や価値が上がる支出などをした場合に資本的支出と判断されます。
  2. 修繕費では、通常の維持管理や原状回復のための支出は価値を増大させるものではないため修繕費と判断されます。

 

各々の意味するところは、何となくつかめましたね。家の地盤が沈下した場合の原状回復工事は修繕費にあたるなど簡単なものはこれで判断が付くようになると思います。

ただ、企業実態に即した支出がどちらに該当するかはかなり難しい判断を迫られるものも多く、熟練の税理士でも税務否認にあってしまうこともあります。

 

次は、そうならないように法人税基本通達で決められた一定通達によって区分けされている資本的支出と修繕費の違いを見ていきましょう。

法人税基本通達上の資本的支出と修繕費の違い

【修繕費】

●修理改良に要した費用の額が各事業年度ごとに20万円に満たない場合

●修理、改良がおおむね3年以内の期間で継続して行われることがこれまでの実績やそのほかの事情からみて明らかな場合

【修繕費か資本的支出か判断がつかない場合に修繕費として損金処理できるもの】

●その金額が60万円に満たない場合

●修理や改良に掛かった費用が固定資産の前期末時点における取得額(資本的支出で追加した償却残高も含まれます)のおおむね10%相当以下の場合

【修繕費か資本的支出か判断がつかない場合に資本的支出として取得価格に加算できる場合】

●修理や改良に掛かった費用の内、「支出金額の30%」もしくは「(前期末簿価+今期加算分原価)の10%」のうちいずれか少ない金額を修繕費とし、残りの金額を資本的支出にすることができる。

●災害時に建物や機械の破損に伴い改良費や修繕費などがかかった場合においては、その金額の70%相当額を資本的支出、30%相当額を修繕費とすることができます。

ちょっと一言
上記の例を見てみると少額の金額であれば資本的支出か修繕費か微妙な場合でも調整することは可能そうですね。
ただ、経営者の方が悩まれるのはもっと大きな金額が多いでしょう。そんなときは、固定資産の価値を高めるのは資本的支出、固定資産の価値を維持するための支出は修繕費という大原則に立ち返って考えてみましょうね。

判断に迷う例としては、償却切れの資産の修理や改良はどうなるかなんてこともあるけど、それについても大原則に立ち返って価値が増したのか、それとも今後も使えるように修繕したのかを基準に考えてみるといいですね。

銀行やVCなどの融資審査上では減価償却はどうみられているのか?やらなくても問題ないの?

この記事を見ていただいている方は、企業の経理担当者や経営者の方などの実際に減価償却について判断に迷われていたり、どの程度減価償却するか日々考えられている方なのではないでしょうか?

 

  • 銀行やVCでの融資審査時に決算書に計上される減価償却費は満額計上したほうがいいのか否か?

これについては、審査担当者は減価償却の有無や限度額に対する償却割合などを確認しています。

どのように確認するかと言えば、償却額については決算書上のPL(損益計算書)や製造原価のページに記載されている減価償却額を確認したりしています。10万円以下の少額減価償却については、損益計上として損益計算書上の科目としては、営業外費用や消耗品などで計上する可能性もありますが、審査担当者がここまで勘案しているかは微妙なラインかもしれません。

もし、少額減価償却をした場合には、別表などで明細を記載しておくといいと思います。

償却限度額との実際の償却額との差額については、別表の16により確認します。

これにより、審査担当者は審査対象の企業がどれほど減価償却する必要があり、どの程度しているかを判断しています。そのため、もし損益上黒字着地させようとして、減価償却を少額しか計上していなかったり、償却していない場合は、減価償却を満額したとして審査を行われます。

なので、融資審査には、実際に減価償却したかしていないか関係なく、満額減価償却した仮定され実際の返済能力を判断されます。

また、審査で提出する決算書は通常3期分が多いと思いますが、それ以上にさかのぼって償却不足があるか否かについては、減価償却明細や別表16に過去分が記載されていなければ判定しづらい部分でもあります。なので融資審査の際には、しっかりと固定資産台帳を提出するといいでしょう。

 

企業によっては、定額法でやっていたり、定率法で償却計算を行っていたり、税務上の減価償却か会計上の減価償却かなどいろいろな判断があると思いますので、どのような償却方法を使用しているのかわかるように決算書を作り、第三者がみても誤解されないようにしておくといいですね。

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